まずいケーキ。

娘とヨメがチラシを見ながら
悩みに悩んだ末のケーキは、売り切れだと断られたらしい。
しかし別のお店でも扱っていることを知り、遠方だが予約したのだという。
とっても有名なホテルのケーキだ。

蓋を開けると、実にこじんまりとしている。
このサイズであの値段ならと、味への期待も高まるというもの。
苦労して注文した甲斐があるとヨメも満足そうだ。
ナイフを入れた娘が、スーッと吸い込まれるナイフの感触に、
たぶんスポンジケーキからして違うのだ！とつぶやいた。
オヤジは、この大粒のイチゴが高いのかもしれないと話に乗っかる。



『うん、おいしいやん！』とヨメがつぶやき
『どう思う？』と自信なさげに問いかけてきた。
『うん、美味しいけど・・・』

たぶん、普通よりもかなり美味しいのだと思う、しかし期待が大き過ぎた。
ビックリするくらい美味しい！とまではいかないまでも、
せめて『この生クリーム、めっちゃ美味しいやん！』とかの、
部分的絶賛を思わず口にしたかったという思いが、くすぶった。

決してまずくはないが、
この場合、普通に美味しいでは、ちょっと気まずい。　　

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